九州国立博物館特別展のご案内

『平山郁夫 シルクロードの軌跡 ―人類の遺産にかけた画家の人生―』

日本画家で文化勲章受賞者の平山郁夫氏(1930〜2009年)は、62年にわたる作画活動とともに世界各地で崩壊の危機に瀕している文化遺産に対する保護活動を通して、世界平和を希求し続けました。そこには15歳で被爆した自身の体験に基づき、文化遺跡を守ることは平和への道に通じるという強い信念がありました。

中国・唐時代の求法僧玄奘三蔵は数々の困難にもかかわらずはるかインドまで行き、十数年後に大量の経典類を祖国へ持ち帰りました。玄奘のもたらした経典は唐代仏教の発展、ならびにわが国の仏教興隆に大きく寄与しました。平山氏は、体調の悪化や芸術上の悩みで苦しみながら玄奘三蔵のなしたことの数々を思い、新たな画境を獲得しました。1966年(昭和41)のトルコ滞在を皮切りに、玄奘三蔵の足跡を追ってシルクロードの取材旅行を開始し、仏教伝来の道とシルクロードは、平山氏にとって生涯変わることのない重要なテーマでした。人、商品、文化、思想、宗教などさまざまなものが行き交った道・シルクロードやユーラシア全土への取材旅行は40年間に150回以上に及び、その累積移動距離は、実に地球9周分にあたる40万キロに達したといいます。平山氏はまさに不世出の偉大なる旅人として、自ら現地にたち、その感動を絵画化する現地主義を貫き通しました。

平山氏が1980年代から提唱してきた「文化財赤十字」構想は、消滅の危機に瀕している世界中の優れた文化遺産・文化財を、国際協力によって地球規模で保護し、後世へ伝えようというものです。日本人による国際貢献の一つのあり方として、大きな成果を挙げながら今日に至っています。

本展覧会は、平山郁夫画伯の本画・下図・素描・スケッチや、作画のための研究材料として収集された平山郁夫夫妻コレクションの美術品と関連作品をあわせて展示するとともに、各地の文化遺産保護活動を紹介するものです。あまり知られていない平山氏の画業以外の分野における重要な取り組みについて知っていただけるまたとない機会となることでしょう。

~九州国立博物館 Webサイト 平山郁夫シルクロードの軌跡 より引用~

会 期 : 平成24年4月3日(火)~5月27日(日)

休館日 : 月曜日 ※ただし4月30日(月)は開館

開館時間 : 午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)

観覧料 :  一 般  1,300円(1,100円)

高大生  1,000円(800円)

小中生  600円(400円)

※( )内は前売りおよび団体料金(20名以上)です。

※ 上記料金で九州国立博物館「文化交流展(平常展)」もご覧いただけます。